「月に雁」という切手が切手コレクターからかなり人気がある秘密をご存じでしょうか?
「月に雁」という切手は、切手収集ブームのピーク時の昭和30年代から40年代にかけて多くの切手コレクターの憧れの的で、高嶺の花であったため、当時としてはかなりの高額で売買されていました。
そして今もなお、この「月に雁」という切手がこれほど切手コレクターの人気があり、愛され続けているのは、なぜでしょう?
切手収集ブームの時代からの大人気!
「月に雁」は、昭和24年11月1日に郵便週間(切手趣味週間)に発行されました。
前年の昭和23年11月に発行された「見返り美人」が好評であったことを受けて、その翌年に販売されました。
切手収集ブームの先駆けとなった、「見返り美人」は150万枚と発行枚数がやや少ない上、当時としては大変珍しかった縦長の切手です。
絵柄は、菱川師宣の浮世絵を図案化したということもあり、世界の切手コレクターの人気を集めていました。
「月に雁」という切手がその直後に発行された切手ということもあり、国際的にも注目され、今では戦後のシリーズ切手の中の王者格だといえます。
これは、この当時、広重がゴッホ、モネなどの西洋の画家にも多大な影響を及ぼしていた浮世絵師であったことも世界から注目された理由としてあるのでしょうね。
切手の図案に採用された「月に雁」は、江戸時代の天才浮世絵師として歌川(安藤)広重の1832年頃の作品で、彼の最高傑作であったと言われています。
オリジナルの「月に雁」は、縦39×横12cmの小作品であり、中短冊判の画面に大きな月を背景にして3羽の雁が描かれ、広重の得意であった「広重ブルー」として世界中で好評化を得ました。
この作品はあまりに構図としても描写にもすぐれた作品であったので、19世紀末に起きたジャポニズムにも影響を与えたようです。
この構図が実に見事であり、印刷も美しいことから「小さな技術品」と呼ばれました。
切手の「月に雁」は、「見返り美人」と同様に、縦67㎜×横30㎜の大型切手で当時としては珍しい切手のサイズです。
切手に描かれている三羽の雁は、家族で移動する渡り鳥です。
前の二羽の雁は、親鳥で、その後を追い、よそ見をしながら飛んでいるのは、子の鳥であるように見えます。
三羽の雁が青い雲間を飛び交っている様子を見事に描いており、縦長の切手にふさわしい構図です。
そして、その光景が大胆に右側を切り落として、切手上で見事にトリミングされています。
原画には、左上に「こむな夜か 又も有うか月に雁」の句が書き込まれています。
現代の言葉にすると、「こんな夜がまたもあろうか月に雁」です。
冴え冴えと輝く中秋の名月と蒼く流れる雲の合間にしなやかな動作でまさに着水しようとして地に下りてくる雁の様子を広重が思い描き、静かで優美な秋の夜の風景を詠んでいる句です。
「月に雁」は版画なので、様々なタイプのものが制作されて、多くの美術館に所蔵されています。
不動の人気を獲得した「月に雁」なのですが、必ずしも発行当初からずっと人気があって売れ行きが好調であったわけではなく、販売した年には売りさばき切れていない郵便局もあったということです。
この切手の人気が出始めてたのは、切手収集ブームがスタートした昭和20年代中ば~後半にかけての郵便週間(切手趣味週間)に発行されたものであり、「月に雁」の発行される一年前に先達で発行された「見返り美人」と共に注目を集めた切手であることも「月に雁」が一躍有名な切手となって、世の中に知られた理由の一つといえます。
■広重の最高傑作「月に雁」が描かれた歴史的背景
この当時の、江戸時代の後期には、日本に有名な浮世絵師が二人いました。
葛飾北斎と歌川(安藤)広重です。
葛飾北斎は描くことを突き詰めた絵師であり、89年の生涯を終えるまでありとあらゆる様々な分野の絵にチャレンジし続けました。
一方、歌川広重は叙情たっぷりの風景を描き続けた天才的浮世絵師です。61歳の生涯を終えるまで「名所絵」と呼ばれる風景画を「描き続け、人気を博し、その道を追求し続けました。
「東海道五十三次」は、彼の出世作で日本橋から京都に至る宿場町53の様子を描いたものです。
このシリーズで広重は、季節や時間に彩られた自然の移り変わりの情景をあますことなく描き続けました。
そんな自然の数ある風景の中でも広重が一番得意としていたのが「月」でした。
「月に雁」は、広重の得意なものをテーマとした代表作といえます。
■「月に雁」の評価額は?
切手収集ブームのピーク時の昭和40年代には6~7万円の値を付けていました。
平成に入って切手収集ブームが下火になってきてからも評価額が2万円代を超えていたようです。
今ではまだ「月に雁」はバラ切手であっても、額面を上回る金額で買取が行われているようです。
5枚1セットの状態になっているものであれば、買取相場はさらに高くなる傾向にあるようです。
つまり、バラ切手でなく、シートの状態のままでお持ちであれば、切り離すことなくシートのまま買取してもらう方がより良い値段が付きます。
もちろん、切手の状態が買取相場に与える影響は大きいため、保存状態を良くして管理することを十分に留意することが必要です。
切手はかなり繊細なため、綺麗に保管していたとしても、年を経るごとにどうしても色褪せ、シミや日焼けなどが発生してしまいます。
使用品や、未使用でも保存状態のそれほど良くない物は、5,000~9,000円または、それ以下での購入もできるようです。
今現在も「月に雁」は根強い人気がありますが、切手収集ブームの収束によって相場はかなり落ち着いてきたため、今後相場が下落してくことは避けられないかもしれません。
今現在は、未使用普通品が15,000円位、未使用極美品が25,000円程度になっています。
どんなにご自身では丁寧に保管をしていたとしても、綺麗な状態のままで保管することは大変難しいです。
もし、「月に雁」のようなプレミア切手をお持ちの方で、今後買取をお考えがあれば、価値の下がりきってしまわないうちに売却するほうが高い値で売れることでしょう。
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参考にどうぞ!
以上、切手「月に雁」の特徴と、その買取相場でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。