私が切手収集を始めた1960年代の初めごろは、切手趣味週間、特に「ビードロを吹く娘」が一つのステータスでした。
もっと高価な「見返り美人」や「月に雁」も世の中には出ていたのですが、発行年がかなり古くかったので小学生には手に届く価格ではなく、私にも買える範囲の切手は「ビードロを吹く娘」だったのです。
そんな「ビードロを吹く娘」の切手について歴史と特徴、販売相場と買い取り相場を述べます。
Contents
「ビードロを吹く娘」の歴史
・図案の「ビードロを吹く娘」について
この切手の原画を描いたのは、18世紀後半の江戸時代中期に美人画の絵師として活躍した喜多川歌麿です。
当時は浮世絵の黄金期に当たります。菱川師宣や鈴木春信など、先人が描いた美人画では全身の絵が多かったのに対し、顔がよく見えるように上半身だけを拡大して描きました。
これは当時歌舞伎役者の絵に使われていた技法を美人画に応用したものです。
「ビードロを吹く娘」は寛政三年(1791年)の作とされます。
原画は東京国立博物館、メトロポリタン美術館(米国)、ホノルル美術館(同)に所蔵されています。
歌麿は文化三年(1806年)に生涯を終えました。
・「ビードロを吹く娘」の切手について
昭和30年(1955年)の11月1日に切手趣味週間シリーズの1枚として発行されました。
「月に雁」の発行から途絶えていた趣味週間の切手が前年に再開されましたが、前年の切手は普通切手のシートでした。
「ビードロを吹く娘」は切手趣味週間としては第5番目の切手で、美人画として初のカラー印刷でした。
この後しばらくは浮世絵シリーズが続きました。
この切手が発行された1950年代の日本は戦争から復興する途中で、切手に限らずいろいろな製品が飛ぶように売れました。
切手趣味週間を含む記念切手は人気が高くなるとともに増刷を続け、1年間の発行回数が増えて行きました。
人気の先駆けとなったのが、この「ビードロを吹く娘」で、収集家の目標の一つとなりました。
「ビードロを吹く娘」の特徴
切手の原画は「婦女人相十品」という10枚1組の版画の1枚です。
町娘が着ている赤い市松模様の着物が鮮やかで、印象的です。
市松模様は人気役者の佐野川市松が身につけたことから一世を風靡した着物の柄です
。娘の手には当時最先端の流行であった「ビードロ」(別名「ポッピン」)を持って口に当てています。
これは舶来のガラス製玩具で、吹いたり吸ったりして“ポッピン”という音を鳴らすものです。
まだうら若い15歳ぐらいの娘の初々しさと流行最先端の玩具とが相まって、さわやかで新鮮さをもって見る人の目を引き付けます。
上半身だけを大きく拡大して描いたちょうど現在のブロマイド写真のような感じで、当時の庶民の嗜好に合ったものとして絶賛されました。
切手のデザインの特徴は何といっても大判の判型にカラー印刷で、当日としても今でも見ごたえがあります。
このデザインがその後の切手趣味週間の切手の原型となりました。
江戸時代に大衆に人気を博した喜多川歌麿の版画が原作となっているため、切手としても美術品としても希少価値で収集意欲を沸き立たせました。
発行枚数は550万枚で多かったのですが、当時は空前の切手収集ブームで、発売日の朝から郵便局の前には長蛇の列が並び、発売後すぐに売り切れたところもあったようです。
「ビードロを吹く娘」の販売相場&買取相場
「ビードロを吹く娘」が発売された1950~1960年代には販売価格が高騰し、1シート(10枚)が数万円にもなりました。
販売価格や買取価格は切手の希少性によって変わりますが、「ビードロを吹く娘」の発行枚数は550万枚と多かったため、現在では希少価値はそれほどなく、価格は低く抑えられています。
切手カタログに掲載されている価格は切手商で販売されている切手の小売価格の平均値です。
2010年の『日本切手カタログ』では未使用の評価が2,500円、使用済みの評価が2,000円でした。
また、某業者の販売価格は現在600円で売られています。
買取価格は切手カタログの価格の10分の1~15分の1程度で取引されていることが多いようです。
「ビードロを吹く娘」の単片価格は状態の良いもので100円程度、シートだと1500円前後になっているようです。
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以上、ビードロを吹く娘の切手についてでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。